やさいINO 古谷 彌治さん

2018年2月、「いこいーの」の隣の空き店舗に久しぶりに入ったテナント「やさいINO」。

「いこいーの」ときょうだいみたいな名前のこのお店は、井野団地の近くに住む農家の古谷さんがやっている。開店と同時にお店に行くと、畑から運んだばかりの野菜がずらり、お客さんを待っていた。

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「店を構える前は露店販売で。団地をつくる時に、今の1街区あたりにあった田んぼを引き渡して、かわりに近くで販売してもいいですか、ってことで昭和44年に祖母がはじめました。当時まだ農家の人は、かごを背負って常磐線に乗って売りに行っていた時代。祖母の後おふくろが継いで、私も4~5年やったんですけど。自分で作った野菜は自分で売るという同じスタイルで、私もやってみようかなと思って。」

お話を聞いている間も、一人またひとりお客さんが入ってきて、品物を眺めたり、おしゃべりしたり。団地でお店をやるって、どんな感じなんでしょう。

「家は団地の近くの農家の集落で、小さい頃はこのお店の前の広場が遊び場でした。約束もしないで、来れば誰かいるだろう、みたいな。店にはおふくろの時代のお客さんも来てくれるし、同級生のお母さんとか今でも住んでいて、会うとやっちゃんって声かけられたり。「いこいーの」のお客さんも来ますよ、露店の時からの方もいるし。」

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古谷さんは農業を継ぐ前、20年ほど会社員をしていたそう。ほぼゼロから野菜づくりをして7年、最近では美味安全野菜栽培士という資格も取るまでに。

「農地売ってしまうのは簡単ですけどね。会社員続けて、土地は売って、そのお金で有意義に過ごせば、私たちはそれで幸せかもしれないけど。先代からの農地を子どもたちに引き継ぐのが、私の責任かなと思ってね。脱サラして農業はじめた時は、小松菜とほうれん草の違いもわかんなかったです。葉っぱどこが違うんだろう、って観察からはじまって。」

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「プレッシャーはありますよね。店を構えた限りは成功させないと。今はね、必死でいろんなとこに営業に行って、飲食店にお米使ってもらえませんかとか、協力者を探しながら。でも楽しいですよねやっぱり。人と関わる仕事だから。なんとかこれから成長していこうかなと思ってね。」

自分を育ててくれた田畑で、自分で米や野菜を育て、自分が育った場所で売る。そこに流れる長い時間のことを考えていたら、「こんにちはー」またひとりお客さんが入ってきた。

農家のお店・農産物直売所|やさいINO(やさいいの)
営業時間 10:00〜18:00 土日祝休
住所 取手市井野団地3-19-105
twitter https://twitter.com/hcajxwbalvkxf0j

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(編集:雨貝未来)