にじんでいく陶芸家 鈴木晶子さん

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取手に来てもう2年です。私はあたらしいところに行くのが好きなタイプかもしれませんね。

生まれは福井で、大学と仕事が金沢。
青年海外協力隊でモロッコに行ったあと、九谷焼の産地の能美市に10年ちょっと暮らしました。
ずっと西側、西日が海に沈むのを眺めてたんです。たいして違わないはずだけれど、
日が落ちるのが早く感じますよ。

周りにつくる人がたくさんいる環境で、絵付け師をしてきたんです。
でもこっちに来たら、自分でろくろもするしかないので。
ラーメン鉢も、こないだは自分でひきました。
こっちに来てから少しは腕があがったかな。

周りからの刺激がなくなったら、私やらなくなるんじゃないかって思ったりもしてたんです。
こっちではいろんな作家さんが点在していて、孤軍奮闘しているんですよね。私もがんばろうって。
おかげさまで、マイペースに続けてられてます。

なんでも1回やってみるのがたのしいんです。想像して、できるか試してみる。
1回やったら熱が覚めるんですけどね。
お商売にはなりにくいのが、わるいところかもしれませんね。

2、3年はむずかしいかと思っていたけれど、すこしずつ話をもらうようになって。
姉が東京の湯島にいるので「谷中でお店でも持てばいいのに」って。
それを1つの夢にしようか、なんて笑ってるんですけど。

午前中には隣のちびっこが工作をしに来てました。30分くらいですけどね。
定期的に教室をやるっていうのは、頑張りすぎてつかれちゃうでしょう。
だから普段はやらないんです。

絵付けに活かそうと思って、こっちに来てから「鳥絵の会」っていうのに入ったんです。
そしたらはまっちゃって。マニアックな人が集まっているので、話を聞くのがくせになるんですよ。

外から工房が見えるから、なにやってるんだろうって思う方もいますよね。
このあいだ草むしりしてたら、3回くらい素通りした後に声をかけてくださって。

陶芸クラブに入っているそうで、それからはよく新人さんを連れてきます。
年齢が上の人たちがえらい感心してくれるんですよね。
そんなに持ち上げられたことないから、新鮮で嬉しくって。

すこしずつ人脈が広がってきていますね。なんの人脈なんだかわからないけど。
今のところうまくいってるって、自分なりに思ってます。

第1日曜日には9時くらいからデッキにお茶碗を並べて、見てもらうようにしたんです。
前に、散歩中のおばあちゃんが焼き損じの抹茶碗を気に入ってくれて。
今は財布持ってないからって、ポケットからありったけの小銭を出してきて。
熱意に押されてしまって、それで買ってもらいましたよ(笑)

たくさんつくれるわけでもないから、好きな人に見てもらえればいいかなって。
モットーは細く長く。自分のペースで続けていきたいだけですから。

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鈴木さんの工房「あのじ屋」で開かれるお茶碗の会では、作品を購入することができます。
開催の有無はブログにてお知らせしています。

「あのじ屋」
住所:取手市戸頭3丁目13-23
ブログ:http://blog.goo.ne.jp/pizzi-pizzi

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(編集:中嶋希実)